生活保護の不正受給・不正支給を防ぐ取組み
生活保護の不正受給・不正支給を防ぐ取組みとして、毎年定期監査が行われています。
定期監査とは都道府県庁の職員が地方自治体が生活保護に関する事務を適正に
行っているのかをチェックすることです。
「定期」と言われるだけあって、年に1回監査が行われます。
定期監査の内容
都道府県庁の職員が調査を行う地方自治体を訪問して
監査を行います。
定期監査を行う上で、都道府県庁の職員がチェックしている項目は
以下の9項目です。
1.現金等が適正に管理されているか。
2.生活保護費に係る支給事務が適正に行われているか。
3.生活保護費に係る返還金等の徴収及び収納事務が適正に行われているか。
4.遺留金品の管理が適正に行われているか。
5.申請から保護開始に至る手続が適正に行われているか。
6.生活保護の条件を満たしているか。
7.生活保護費に係る未収債権の債権管理が適正、適切になされているか。
8.監査対象局及び区が実施する査察指導が適切に行われているか。
9.被保護者に対する就労支援施策等が効果的に実施されているか。
10.生活保護関係業務に係る委託契約事務が適正、適切に行われているか。
都道府県庁の職員が全ての地方自治体を回って定期監査を
行うんですが、さすがに全ケースワーカーの全ケースを
チェックすることはできないため、
・1年以内に生活保護を開始した世帯
・1年以内に生活保護を廃止した世帯
・返還金・徴収金手続きを行っている世帯
・ケースワーカーごとに4世帯(世帯類型別に1世帯ずつ)
をチェックしています。
定期監査で指摘事項が見つかった場合
定期監査において不正受給・不正支給が発覚した場合は
当該福祉事務所に対して指導を行います。
指導の種類は大きく分けて3種類あり
・文書指導
・口頭指導
・その他の指導
に分類されます。
■文書指導
文書指導は、その名の通り文書による指導です。
指導内容が明文化されるため、指導の種類の中で最も
重い指導になります。
指導された内容については、その後の対応を報告する必要があります。
すぐに解決できるものであれば解決した旨を、
解決に時間が掛かるものについては、その経過報告を定期的に
報告する必要があります。
■口頭指導
口頭指導は、その名の通り口頭による指導です。
指導される場合は、「これは口頭指導です。」と
監査官から宣言されます。
文書指導と比べると少し軽い指導になりますが、
指導された内容については、文書指導と同様に
その後の対応を報告する必要があるため、重たい
指導です。
■その他の指導
文書指導・口頭指導をする程ではないが、注意が必要な
部分については指導や注意が入ります。
その他の指導については、その後の対応について
報告する義務はありません。
文書指導・口頭指導が多い場合
定期監査の結果、当該地方自治体の文書指導・口頭指導の
件数が多かった場合は定期監査とは別に特別監査が
行われます。
特別監査の対象となった地方自治体は
定期監査と特別監査が入るため、年に2回監査が入ることになります。
特別監査で行われる監査の内容は基本的に定期監査と同じですが、
より厳しくチェックされるようになります。
地方自治体としては、通常業務も忙しいのに加えて監査もあると
さらに負担が大きくなります。
なので、できるだけ文書指導・口頭指導を受けないようにします。
結果、不正受給・不正支給をしないように気をつけるようになります。
このように不正受給・不正支給を防ぐ取組みは以前から
行われているんですが、それでも不正受給・不正支給は
なくなりません。
ケースワーカーの育成がうまくいっていない問題もありますが、
やはり調査権限等が弱いのが一番の問題だと思います。
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